カバラとはユダヤ神秘学思想による古代叡智です。神の世界と人間の世界の構造を生命の樹「セフィロト」で体系化させたものです。神と人間、そして、宇宙の神秘が解き明かされた古代の叡智がカバラとなります。カバラとはヘブライ語で「受け入れ」「伝承」を意味します。
ユダヤ人がヨーロッパで孤立していく要因には、ユダヤ教の教えカバラの原点に「天国に秘め置かれている“メシア(救世主)の魂”が地上に“人の子”として現れ、全ユダヤ人を救済するのは、地上の悪が絶頂に達したときである」という教えがあったからかもしれません。自分たちの土地を持たなかったユダヤ人にとってメシアを切望する思いは迫害や差別との戦いでもありました。しかし、他宗教を認めずユダヤ教の神が唯一絶体と信じることで非難の対象となってしまった彼らの戦いは「シオニズム」と呼ばれ現在でもなお、終わることのない戦いを続けてしまうことになります。
カバラ思想はキリスト教が支配する世界では完全に隠ぺいされた思想となります。ユダヤの神秘学思想がカバラとして息吹き始めたのは12世紀の北スペインやフランス南東部のプロヴァンス地方にカバラ秘儀を伝える者が現れだしてからとなります。以後、ヨーロッパ各地に急速に広がり始めると「モーセ五書」から本格的なカバラ的解釈が行われます。ユダヤ教にとって「モーセ五書」はトーラと呼ばれ法律でもありました。
現代のカバラ三大経典は「イエツィラの書」・「バヒルの書」・「ゾハルの書」となります。イエツィラの書は「形成の書」、バヒルの書は「光明の書」、ゾハルの書は「光輝の書」となります。
なかでもスペインのラビ・シメオンが神の啓示にて残したとされる「ゾハルの書」はユダヤ教絶体唯一の神秘思想としてカバラ思想の中核となっていきます。
カバラとは精神世界を解き明かし魂の成長と高次元へ導くもの、宇宙意識を感じ取る思想としてユダヤ教だけでなくキリスト教にも大きく影響を与えました。16世紀のヨーロッパでは民衆の間で特にユダヤ人による暗黒世界と終末論が加熱すると同時にキリスト教団でも同じことが起こり始め混乱の時代に突入していくのです。カバラが魔術にも大きく影響を及ぼすことになるのは17世紀以降となります。
カバラ神秘学思想は大きく分けてユダカバラとクリスチャンカバラに分類されます。本来、カバラ神秘学とはユダヤカバラを指します。キリスト教にカバラ神秘学を応用するためにクリスチャンカバラが誕生します。後にクリスチャンカバラ神秘学は西洋近代魔術の論理的な考え方となっていきます。クリスチャンカバラは魂と宇宙の関係を解き明かす学問書とも言えますのでユダヤカバラ、クリスチャンカバラは魔術の思想となります。カバラ単独で魔術本来のエネルギーを得ていくことは難しく古代叡智と技法をさらに習得していく必要があります。
カバラ魔術をご自身で実践する際に気を付けたいことは、間違った方法や無理をして心に大きな負担をかけてしまうことで精神を破壊へと追い込んでしまうことがありますので注意が必要です。
カバラ魔術の実践で欠かせないものに瞑想がありますが瞑想も危険性を知らずにのめり込んでしまうことはとても危険な行為となってしまいますので気を付けながら自身に無理や負担を強いることのないように行わなくてはなりません。
瞑想についてはこちらを参照
カバラ神秘学につてはこちらを参照
